シルクの可能性
シルクは従来の繊維素材としてのみならず食品、化粧品、そして医療など多分野を横断したバイオマテリアルと捉えた研究が推進され、多くの期待が寄せられています。
また、持続可能な社会の実現においてもシルクはサステナブルな素材として、改めて注目されています。繭から取ることができる糸はもちろん、成体になる前の蛹は良質なタンパク質として活用することができ、素材を余すところなく使うことができる、人にも地球環境にも優しい素材です。
01.Good for FOOD
シルクは、牛乳や卵などの必須アミノ酸を多く含む食材よりも多くのアミノ酸を含む良質なたんぱく質です。フードテックや昆虫食が注目される中、地球に優しい新しいタンパク源として注目を集めています。シルクを使うことは、たんぱく質危機や地球温暖化などの山積する課題に対しての有効なアプローチの一つであると、私たちは考えています。
02.Good for WELLNESS
シルクの主成分であるフィブロインは、18種類のアミノ酸で構成されており、人の肌の構成とほぼ同じです。また、人がもともと持っている皮膚の保湿成分であるNMF(天然保湿因子)とも組成のバランスが似ており、美肌・保湿効果など、美容や健康にも優れた効果があることが認められています。
03.Good for MEDICAL
シルクは衣料用の繊維としてのみではなく、傷を縫う外科用縫合糸としても実際に医療現場で利用されています。この事実はシルクの生体安全性の高さ、医療用と素材として有用であることを示しており、現在では、シルクをスポンジ・不織布・フィルム等へと加工し、実用化に向けた研究がなされています。
シルク産地としての愛媛
愛媛県は、蚕種製造・養蚕・製糸などシルク産業における全工程の施設を県内に有し、日本のシルク産業の発展を支えてきました。現在もそれらの施設が愛媛県内に現存しており、そうした地域は国内を見渡しても残りわずかとなっています。
八幡浜市には、西日本唯一の蚕種製造販売会社である愛媛蚕種株式会社があります。大洲市と西予市は、愛媛県内を代表する養蚕地です。生糸を生産する製糸工場は全国に残り4カ所のみとなりましたが、西予市の野村シルク博物館はその一つです。
シルク産業の伝統を育んできた基盤を守りながら、国内全域での連携の力で新たな価値を創造していきます。